秋の風が少しずつ感じられるようになると、心も自然と落ち着いてきます。
読書や学びに向き合いたくなるこの季節は、自分のキャリアや働き方について立ち止まって考えるのにぴったりの時期です。
特に「仕事を通して幸せになる」というテーマは、人生100年時代を生きる私たちにとって欠かせない問いかけではないでしょうか。
やりがいと生きがいが人生を彩る
働く理由は人によって異なります。
生活のため、家族のため、夢のため。
しかし、その根底にあるのは「やりがい」や「生きがい」を感じたいという思いです。
たとえ同じ仕事であっても、「誰かの役に立てている」と実感できた瞬間、心は満たされ、毎日が輝きを増します。
反対に、ただこなすだけの業務では心が疲弊し、人生全体の満足度まで下がってしまうのです。
この「やりがい」や「生きがい」を見出すことは、単なる精神的な満足にとどまりません。生活の質、つまりQOL(クオリティ・オブ・ライフ)に直結しています。
仕事の充実は、家庭や趣味、健康にまで波及し、人生全体を豊かにする力を持っています。
ディーセントワークという考え方
国際労働機関(ILO)が提唱する「ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」という概念があります。
これは、雇用が安定していることや、公正な待遇、職場での権利が守られていることを指し、さらに自分らしく成長できる環境が整っている働き方を意味します。
日本でも少しずつ浸透してきたこの考え方は、単に「正社員でいること」だけを重視するのではなく、一人ひとりのライフステージや価値観に合った働き方を尊重する流れを後押ししています。
特に9月は、年度の後半に向けて職場の体制を整える企業が多く、働く人自身も「これからの半年、どのように働きたいか」を見直す絶好のタイミングです。
ワーク・エンゲイジメントを高める
近年注目されている「ワーク・エンゲイジメント」という考え方も、私たちが仕事を通して幸せになるうえで重要なキーワードです。
これは「仕事に対して活力があり、熱心に取り組み、没頭できるポジティブな心理状態」を指します。
単に「がんばる」こととは異なり、働くことそのものが自分を energize(エネルギーで満たす)してくれる状態です。
ワーク・エンゲイジメントが高い人は、日々の仕事に前向きで、創造性や集中力も高まりやすくなります。
つまり「仕事を通して幸せになる」ための実感を得やすいのです。
もし最近、仕事へのモチベーションが下がっていると感じたら、自分にとってのやりがいや成長の機会を見直してみるのも良いかもしれません。
知識のリニューアルが未来を開く
そしてもう一つ忘れてはならないのが「知識のリニューアル」です。
社会や技術の変化はめまぐるしく、今のスキルや経験だけでは将来に不安を感じることもあるでしょう。
知識やスキルは年齢を問わず更新できるものです。
例えば、新しい資格に挑戦する、最新のITツールを学んでみる、セミナーに参加する。
そうした一歩は自信となり、結果的に仕事のやりがいやワーク・エンゲイジメントを高めます。
9月は学びの秋の入口でもあります。
この季節に「知識のリニューアル」を意識してみることで、未来のキャリアが大きく拓けていくのです。
幸せに働くためにできること
では、私たちが「仕事を通して幸せになる」ために、日常の中でできることは何でしょうか。
それは、まず自分の価値観を知ることです。
収入や安定を重視するのか、やりがいや成長を大切にするのか。
人とのつながりが心を満たすのか、それとも自分の時間を確保することが喜びにつながるのか。
正解は一つではありません。
そして、理想と現実のギャップを埋める努力を続けることです。
すぐに転職するのが難しければ、職場での小さな挑戦を増やすのも一つの方法です。
上司や同僚に相談し、興味のある業務に関わる機会を求めてみる。
あるいは、プライベートで学びを広げ、将来につなげる準備をする。
こうした積み重ねが「幸せな働き方」への道をつくっていきます。
まとめ
9月という季節は、新しい挑戦を受け入れやすい時期です。
やりがい・生きがいを大切にしながら、QOLを高める働き方を意識すること。
ディーセントワークやワーク・エンゲイジメントをキーワードに、自分に合った働き方を探求すること。
そして、知識のリニューアルを怠らず、未来を切り拓く準備を進めること。
「仕事を通して幸せになる」ことは、夢物語ではなく、日々の選択と積み重ねの中にあります。
9月の空のように澄み渡る気持ちで、自分らしいキャリアの実現に向けて歩みを進めてみませんか。