「春眠 暁をおぼえず」
昔から「春眠 暁をおぼえず」と詠われるように「春になると眠くてしょうがない」
「朝、なかなか起きられない」など睡眠に関しての不調を訴える人が多くなります。
その他にも集中できない、吹き出物が増える、疲れがとれない、
アレルギー症状が悪化するなど体調不調に悩まされる人が増えますが、
どうしてこのようなことになるのでしょうか?
春に出やすい症状(木の芽の時に悪化しやすい症状)
*怒りっぽい・イライラ
*めまい・耳鳴り・頭痛
*生理不順・生理痛・更年期障害
*胃痛・胃腸の不快感・食欲不振
*寝付きが悪い・途中で目が覚める・睡眠への満足感がない
*やる気がでない・全身の疲労感
*手足のしびれ・筋肉のひきつり
*目の疲れ・充血・乾き目
*神経痛
*ニキビ・肌のくすみや乾燥
などなど、色々な諸症状があります。
わたし自身は年々花粉症がひどくなって、春先はウキウキする一方で、
目の痒みや鼻水に悩まされています。
もちろん、医療機関で診てもらうことも大切ですが、自分でもできるセルフケアを知って、
QOLがさがらない生活になるように工夫していきましょう。
春はアンバランスが生じやすい季節
寒さが徐々に和らぎ、春の訪れを本格的に感じ始める3月。
気持ちがわくわくする一方で、心身ともに不調を感じやすい時期でもあります。
3月は、冬のあいだ優勢だった「陰」が少しずつ減り、「陽」が一気にあふれてくる季節のはじまり。そこかしこに花々が咲き乱れ、木々も一斉に芽吹いてくる明るい季節ですが、そんな季節の陰陽バランスの変化に私たちの心と体も引っ張られて影響を受け始めます。
さらに、4月からは進学や就職、転勤、異動、引っ越し、プロジェクトのスタートなど、社会生活においてもなにかと慌ただしくなる時節でもあるので、心にも体にもアンバランスが生じやすい季節としてとらえることができます。
実は、自然だけでなく私たちの体の中にも陰陽要素は存在していて、心身ともに健やかに過ごせる理想的な陰陽バランスが取れた状態を「陰平陽秘(いんへいようひ)」と呼びます。どちらかに傾きすぎてしまうと不調が生じやすくなりますが、事前の知識があればそれらを緩和することができます。
「養生」とは、いわば先回りの健康法ですよ。
様々な原因がある
3月から4月にかけての季節を『木の芽時』といい、東洋医学では五臓(肝心碑肺腎)の中の肝の季節と考えられています。まさに、冬の時期に潜んでいたものが一気に外へ噴き出す時期であり、肝は血液を溜める銀行の働きと共に自律神経のバランスを整える働きを担っている臓器とされているので、身体の衣替えや生理などで多くの血液が必要となる時には、肝に溜めてあった血液が使われることで通常は衣替えが順調に終了します。しかし、普段から貧血気味の人や冬の間に病気や過労、ストレスなどで十分な血液をたくわえられなかった人は、肝の血液を使いすぎることで肝の働きも低下してしまい、自律神経のバランスも崩れやすくなって様々な症状が出やすくなってしまいます。
春になると気温が暖かくなり、新陳代謝が促進されるためエネルギーの代謝も促進されます。そのため代謝に必要なビタミンB1が不足がちになり、疲れやすい、だるいといった症状がでます。また、冬の間短かった日照時間が長くなるため、眠気を誘う脳内物質(セロトニン)の分泌量を調整しようとして夜に眠れなくなったり、逆に昼間に眠くなったりします。
その他、自律神経が冬型から夏型に変わろうとするためにバランスが崩れやすくなり、イライラしたり、めまいを起こしたりします。特に女性はホルモンバランスも乱れやすくなるので、このような症状以外にも肌がカサついたり、ニキビができやすくなったり、くすみやすくなったりします。
職場の人事異動や子供の進級や行事などで生活環境が変化する機会が増えてきます。この時期に慣れない環境で頑張ってしまうことにより、体調不良を訴える人が多くなってきます。
改善方法
①生活のリズムをつくる
「起きる時間」「寝る時間」「食事の時間」が毎日なるべく同じ時間になるようにしましょう。生活の決まったリズムが出てくると、身体の中のサーカディアンリズムが整い、自律神経のバランスは乱れにくくなります。朝に太陽の光を浴びるのも効果的です。
②水分摂取
水分を十分摂取することにより代謝を促すとともに、便や尿、汗にのせて体内の毒素や老廃物の排泄をスムーズにします。それにより、消化器系の働きが整い自律神経のバランスがとりやすくなります。
③発汗
軽い運動や半身浴でしっかりと汗を出すことにより、尿では排出されない水銀などの有害ミネラルや食品添加物などを排出します。入浴前には水分摂取(コップ1杯の水)をするとより一層効果的です。
④肝臓のサポートをする
春は冬の間に溜め込んだ老廃物や毒素を解毒しようとするため、特に負担がかかります。肝臓がオーバーワークにならないよう、暴飲暴食や偏った食事に注意しましょう。また、肝臓の働きを助けるメディカルハーブやサプリメントを上手に利用するのも良いでしょう。
⑤休養(睡眠)をとる
睡眠時間には個人差がありますので、自分に合った時間を確保するようにしましょう。日中に散歩や軽い運動で身体を動かすと寝付きが良くなります。
⑥栄養(食事)をとる
健康な毎日を過ごすには、栄養バランスのとれた食事が欠かせません。特に普段の食生活で不足しがちなミネラルやビタミン類は抗ストレスや自律神経のバランスを保つためにも大切な栄養素です。また、春の食材にはアクが強く感じるものが多くあります。苦味成分は肝臓に働きかけ、代謝を活発にして余分な脂肪や老廃物を排出したり、のぼせなどの体調不良を和らげたりする効果があります。
但し、アトピーなどのアレルギー体質の人は、東洋医学で春はのぼせやすく熱が上に登るので、春の木の芽などの食べ物は『陽気』が強すぎて症状を悪化させることがありますから気を付けましょう。
その他に、カリフラワーやブロッコリー、キャベツ、大根などは肝臓の働きを高めてくれる成分(スルフォラファンなど)が含まれていますからデトックスには最適です。
肌が荒れやすい人はリンゴ、ゴボウ、海藻類やきのこ類などの食物繊維を多く含むものを摂取し、便秘を防いでください。体内の毒素や老廃物は約75%が便から排出されます。腸に便が長くとどまると悪玉菌が繁殖し、より毒素が大量に発生します。
毒素が体内に大量にあると代謝しきれず肌がくすんだり、吹き出物が出やすくなります。
⑦マイナス感情を溜め込まない
落ち込んだ時、悲しい時、悩みがある時には溜め込まずに、その都度発散させるようにしましょう。スポーツや遊びで気分転換をする、誰かに聞いてもらう、日記を書く、歌を歌うなど自分にあった発散方法をみつけましょう。
ハーブティーを飲んでみる
①ダンディライオン
利尿作用、消化促進作用などがあるため、むくみ改善、ダイエットにも効果があるとされています。また、ミネラルを豊富に含み、鉄分が多く含まれるため、貧血予防にもなりますし、体内の水分バランスを保ち、脈を安定させてくれるカリウムも豊富です。コーヒーに似た香りですので、コーヒーをやめたい人や飲めない人でも楽しめます。
②ネトル
ネトルとはアジアからヨーロッパにかけて広い範囲に雑草として分布しています。和名を西洋イラクサと呼び、トゲのある植物です。ミネラルとビタミンをバランス良く含み、天然マルチビタミンと言っても良いほどです。また、ネトルはヒスタミン抑制作用があることから、花粉症をはじめとするアレルギー症状に利用されています。
③ローズヒップ
ローズヒップには、多くのビタミンやミネラルが含まれていますが、なんといっても注目すべきはビタミンCが多く含まれていることです。オレンジの10倍、レモンの20倍と言われ『ビタミンCの爆弾』という呼ばれ方もします。ローズヒップ100gに、およそ1000mgのビタミンCが含まれています。身体がストレスにさらされると、それを軽減させるため体内からステロイドホルモンであるコルチゾンが生成されます。ビタミンCはそのコルチゾンを作る材料となるので、ストレスの多い人には最適です。
リラックス神経強化メソッド
ホットフラッシュ、発汗、動悸、頭痛、めまい、肩こり、不眠。。。実はこれらの不調の背景にあるのが自律神経の乱れです。ホルモン分泌と自律神経系の働きは、脳の視床下部という場所で統合されています。
アロマテラピーの脳と嗅覚のメカニズムでは、精油の香りは脳の中枢である大脳辺縁系に働きかけることが解っています。視床下部には体温調節や摂食など生命活動を司る中枢が存在し、自律神経やホルモンに司令を出している場所です。わずか13gほどの小さな器官に多くの中枢がひしめき合っているため、どこかに乱れが生じると、他の中枢にも影響が及び、結果として自律神経にも不調がでやすくなります。
私たちが元気に過ごすには、交感神経の過度な緊張をゆるめ“リラックス神経”である副交換神経の働きを活発にすることが重要です。
8つの強化メソッド
順天堂大学・小林教授式8つのリラックス神経強化メソッドをご紹介します。
1,起きたてに1杯の水を飲む ⇒ 自律神経を目覚めさせる
脱水は自律神経を乱します。起床後は1杯の水を飲むとまず交感神経がぐっと活性化し、その後、副交感神経が活発になって、自律神経のバランスが整います。
2,吸う・吐く1対2の深呼吸を3回 ⇒ 副交感神経をONにする
呼吸は自律神経と直結しています。スーッと長く息を吐くと、副交感神経が活発に。朝起きたら、まずは深呼吸で自律神経を整えましょう。コツは「吸う」が1、「吐く」が2の割合です。
3,セルフエクササイズをする ⇒ 細胞に血液を行き渡らせる
午前中にラジオ体操や5分程度のエクササイズで、自律神経のバランスを整えましょう。
4,花を丁寧に生ける ⇒ 花で心身の余裕を取り戻す
心に余裕を取り戻すには花が一番です。心をこめて丁寧に生けてください。花屋さんで好きな花を選び、きれいに生けてその美しさを愛でると、呼吸も落ち着き自律神経が整います。
5,ゆっくりお茶を飲む ⇒ 高ぶった交感神経を一度リセット
午後3時か4時頃にお茶の時間を作って一息いれると、仕事や家事で緊張していた交感神経がゆるみ、自律神経をリセットできます。この時間のおしゃべりも効果大です。
6,夕方、早歩きで散歩する ⇒ 全身に血液を巡らせ、気分もリフレッシュ
ウォーキングなどの適度な運動は、自律神経を整えるのに効果的です。ただし、朝は慌ただしい上に交感神経が上がりやすい時間帯ですから夕方にするのがおすすめです。
7,ぬるま湯で“消灯アロマ入浴” ⇒ お風呂で心と体をリラックスさせる
1日に終わりの入浴は、滞った血液を回復させる貴重なひとときです。40度程度のぬるま湯で半身浴をして体を温めます。浴室の灯りをおとし、好きな香りを楽しみながらの“消灯アロマ入浴”がおすすめです。
8,3行日記をつける ⇒ 1日の心の整理、区切りをつける
心がモヤモヤしたまま眠るのは自律神経の大敵です。そこで、寝る前の3行日記を書いてみてください。今日、失敗したこと、今日、良かったこと、感動したこと、明日の予定を簡単に書くだけです。文章は簡単でOK。いいことで締めくくるのがコツです。
自律神経調整アロマリニメント
作り方
①ガラス製ロールオンボトルにホホバオイル7mlをスポイトで量り入れる。
②精油を合計7滴、滴下する。
③フタをしっかりと閉めてよく混ぜる。
使い方 1日3~4回手首内側や襟首、みぞおちに塗布する。
■アロマレシピス
*不安症・心配性・極度の緊張
ネロリ2滴、オレンジ・ビター3滴、マンダリン2滴
*気分の落ち込み①
ネロリ2滴、リトセア・レモン5滴
*気分の落ち込み②
ネロリ2滴、ローズマリー・シネオール、オレンジ・スィート3滴
*神経過敏症
プチグレン4滴、フランキンセンス2滴、ティートゥリー1滴
*リッラックス①
オレンジ・スィート3滴、ネロリ2滴、ベルガモット2滴
*リラックス②
ラベンダー・アングスティフォリア4滴、カモミール・ローマン3滴
*リラックス③
イランイラン4滴、ラベンダー・アングスティフォリア2滴、ネロリ1滴
*神経性疲労感
マージョラム3滴、プチグレン2滴、マンダリン2滴
*ストレス①
ラベンダー・アングスティフォリア3滴、ホーウッド2滴、マージョラム2滴
*ストレス②
リトセア・レモン3滴、プチグレン2滴、レモングラス2滴
まとめ
今回はアンバランスが起こりやすい春の諸症状とケアについて紹介しました。
大切なのは、自分の心と体に向き合うことです。
春の「陽」の上昇によって内臓が活性化するわけですから、見方を変えると、
冬に溜め込んでしまった余分な水分や脂肪分、老廃物などを体外へ排出しやすくなる時期。
ともすればデトックスのチャンスでもあるととらえることができます。
私たちの体は元々、自分に不要なものを排出する力を持っているので、
うまくその力を利用していけば、体に負担をかけずにデトックスすることが可能です。
体の不調とは実は心と体からのサインです。
体の中で生じる小さなアンバランスがプチ不調という形でメッセージを出してます。
小さなサインの段階でアクションを起こし、病気にならないようにしていきます。
心と体からのサインを読み解き、「今の自分に一番よいもの」を意識して快適な春時間を過ごしましょう。
以上、参考になれば嬉しいです。