アロマタッチのコミュニケーション効果

 

アロマテラピーは日々の生活に取り入れることで心身の健康に目をむけることができます。
植物の香り成分を活用したクリーム作りや芳香浴などでセルフケアに活かしたり、
タッチングやトリートメントはとても便利なツールになります。

 

人生のいろいろなシーンにおいて、家族や大切な人との絆を深める
アロマテラピーを実践していきましょう。

 

目次

感覚的に誰もが知っている

日本では、昔からおんぶや抱っこの習慣がありました。
これは、赤ちゃんと触れあうことの大切さを誰もが感覚的に理解していたからかもしれません。

1986年アメリカでは、
マイアミ大学小児科学研究所でティファニー・フィールド博士が、
早期産児にマッサージをしたところ、マッサージをしなかった赤ちゃんと比べて、
47%も体重増加が見られ、退院が6日早まったという研究結果を発表しました。

 

嗅覚と触角は五感の中では化学的な感覚といわれています。

 

痛いの、いたいの、飛んでいけ

小さい頃、転んで泣いているとお母さんが「痛いの痛いの飛んでいけ!」
といって痛いところを優しく触ってくれたという経験がある方も多いと思います。

それだけで痛みが和らいだ気がしませんでしたか?


この行為は、ただのおまじないではなく、脳の働きにも大きく関係している
ということがわかっています。

例えば、転んで膝をぶつけたとします。
脳には「膝が痛い」という信号が送られ患部に痛みを感じます。

その時に、
お母さんが膝を触ることで、ぶつけた時とは別に「膝に触った」
という2つ目の信号が脳に送られます。

すると、
脳は2つの信号を同時に処理しなくてはならなくなり、
脳が、その対応に追われるため痛みが分散されて緩和するという仕組みになっています。

私たちは、これを理論ではなく経験として知っていいて、
反射的に患部を触るという行為をしているのかもしれません。

他にもマッサージやアロマテラピーでは、これに近い効果が期待できます。
触覚や嗅覚を刺激することで、疲労した筋肉が発する痛みを緩和することができます。


もちろん、
マッサージなどには治療としての側面もありますが、
脳は痛みの信号だけではなく、痛みと緩和の2つに増やすという面でも効果的といえます。

 

皮膚から伝わる感覚

皮膚から伝わる優しい感触や心地良いタッチをする事により癒していくものです。

心地よいタッチケアをされることにより、脳にはオキシトシンがたくさん分泌されます。
オキシトシンはストレスホルモンの分泌を抑制してストレスを感じる時に分泌される
脳内ホルモン濃度を下げていきます。

また、逆に幸福感を感じ穏やかな気持ちにさせてくれるため、
タッチケアを受けた後にはイライラが減少し気分を落ち着つかせる効果があるのです。

身体の不調がある場合には、どこをどのように触れると効果的なのか?
知っておくことにより症状を緩和することができます。

 

タッチケアのすすめ

小さなお子さんについてもタッチケアは、自律神経のバランスを整え免疫力を高めます。
そして、心や体の不調を予防してくれます。

これにより成長ホルモンの分泌も活発になり、健康的な成長を促します。
小さなお子さんにおいては、優しいタッチが不足すると将来の人格形成や
コミュニケーション能力にまで影響を及ぼしてしまいます。

愛情たっぷりの優しいタッチケアは、子供の成長には欠かせない大切な行為です。
昔では当たり前であった親子のスキンシップは、現代社会の生活の中では希薄になり、
ストレスに弱い子、キレやすい子にさせないためにもタッチケアの大切さを
多くの方に知っていただきたいのです。

お子さんに限らず、大人にとっても穏やかで健康に暮らしていくためには、
タッチケアはとても重要な役割を果たします。
安心感や充足感が得られます。

また、タッチケアの効果は、受ける人だけではなく行う人にも同じ効果が得らます。

 

家族で日常的に行われることにより、穏やかで相手を思いやる気持ちが芽生え、
人を信頼することが出来、親子の絆も深まっていきます。

ベビーマッサージ教室やタッチケア教室に参加したときだけではなく、
日常的に行うことが大切です。

たとえ短時間でも、手足だけでも背中だけでも、
機会あるごとに触れることがとても重要です。

 

なでる、さする、よしよしする。
アニマルセラピーにも通じる癒しの効果がありそうですよ。

 

オキシトシンを味方にする

オキシトシンは、視床下部で生合成され、脳下垂体後葉から分泌されるホルモンです。
9個のアミノ酸からできたペプチド(小さなタンパク質分子)で、
信号を伝える神経伝達物質として働いています。

オキシトシンは出産時の子宮収縮作用や乳の分泌促進作用など女性に関与し、
親子の絆を深める物質と知られていますが、社会的な人間関係を築く上でも
関与していることがわかってきました。

私たちが社会的にうまく機能するには、信頼をする気持が大切です。
信頼すべきかどうか私たちはどのようにして決めているのでしょうか?

脳で作られるオキシトシンという神経伝達物質が信頼を築くうえで、
重要な働きをしていることが様々な実験によってわかってきました。

子供の頃に心地よい思いを与えられてオキシトシンが脳内でつくられた子供は、
成人してからもストレスに強い脳になるというデータもあるそうです。

 

オキシトシンのはたらき

・他者とのつながりを働きかける

母性行動や社交性、好奇心を促します。母性本能が強くなり、親子間の絆の深め、また、他者との関わりを持つための、他者に対する好奇心、社交性など高めます。

・安らぎの感情を強める

血圧の低下、心拍の減少によってストレスホルモンの血中濃度を減らす、ストレス軽減作用。また、痛みに対する耐性が増す、学習効率を高めるなどの働きがあります。

 

オキシトシンを出す方法

・他者にふれる

やさしく、さするようにマッサージをするタッチケア(タクティールケア)は親子の絆を深めるという意味がありますね。大人になっても撫でてもらうと心地よくなります。

・ペットなど動物を優しく、愛しくなでる

優しくなでると人間からもペットからもオキシトシンの血中濃度が高くなります。

・感動する

「きれい!」「かわいい!」「素敵!」など感じて、言葉にする。

・好奇心を持つ

新しいことに挑戦する、興味を持つ、恋をする、おしゃれをすることは
神経伝達物質を刺激します。

・神経伝達物質を分泌

βエンドルフィン、ドーパミン、セロトニンなど精神安定、
快い気持にさせる脳内伝達物質を分泌することにより、オキシトシンの作用が持続されます。

・アミノ酸組成の良い食材を摂る

ホルモンや神経伝達物質の前駆体となるアミノ酸バランスよい食事をすることも大切です。
また、アミノ酸をより効果的に作用させるためには、ビタミン、ミネラルなどを摂取すること
が大切です。

たとえば、
タンパク質の一種であるコラーゲンの合成には、カルシウムやビタミンCが欠かせません。
肉類、魚介類、鶏卵、牛乳、大豆製品など。

 

自律神経のバランスをとる

タッチケアは自律神経のバランスを整え、回復力、免疫力を上げて行きます。
認知症のあるご高齢者はストレスホルモンがたまりやすい状況にあり、
それらが原因で様々な問題行動に繋がるといわれています。

アロマテラピーが自律神経や心のバランスを整える作用に優れているのは、
”嗅覚が脳に与える影響”と”精油の有効成分”の2つが関係しています。

普段なにげない場面で香りは人の判断に影響を与えています。
衣服を柔らかくすることが目的の柔軟剤も、柔らかくする働きだけではなく、
香りの好き嫌いやで選択している人も多いのではないでしょうか?
またよく知らない人だけれども生理的にイヤなにおい!

そんな経験をしたことは一度はあるはずです。
それは香りが嗅覚を通じて、脳に作用しているからかもしれません。

 

 

嗅覚からの香りの情報が大脳辺縁系に伝わることで、
自律神経系にも影響を与えることがわかっています。

視床下部は自律神経の司令塔の役割を担っていて、
交感神経と副交感神経のバランスを保つために働いていますが、
仕事などのストレスが過度にかかると、自律神経のバランスが崩れ、
自律神経失調症などの病気を引き起こします。

自律神経のバランスが乱れてしまったときに、
自律神経を整える作用をもった香りを直接的に視床下部に届けてあげることは、
心の不調を解消するために”理にかなった方法”といえます。

 

アロマテラピーにおける嗜好性と自律神経について

アロマテラピー学雑誌

 

 

 

 

自律神経を整えたり、精神を安定させてりしてくれるのは、嗅覚を通じて脳へ直接的に、精油の有効成分が届くからなんですよ。

自律神経のバランス、精神安定に役立つ精油

クラリセージ

フローラルな甘みのあるハーブ調の香りで、”女性のためのハーブ”とも呼ばれるクラリセージ。
女性ホルモンのエストロゲンに似た「スクラレオール」が含まれており、ホルモンバランスを整える作用に優れています。
その作用によって疲れやすいなどの症状がおこる更年期障害、生理前のイライラや憂鬱な気分など、女性特有のトラブル解消に効果的。自律神経を整える作用や、安眠を促す作用もあるとされており、心にエネルギーを与えてくれるとともに、リラックスもさせてくれる香りは、心身ケアの心強い味方となってくれるでしょう。
また皮脂分泌をを抑え、肌を引き締めてくれるため、スキンケアとしても人気の精油です。

 

ラベンダー

アロマテラピーの万能精油ともよばれ、多くの人に親しまれているラベンダー。
なかでも真正ラベンダー(ラベンダー・アングスティフォリア)の品種は、爽やかな甘酸っぱい香りが特徴で、最もラベンダーらしい香りと称されます。
ストレス緩和と安眠を導く代表格でもあるラベンダーには、「リナロール」や「酢酸リナリル」が含まれており、乱れがちな自律神経を整えて、不安や緊張で揺らぐ心を穏やかに保ってリラックスさせてくれます。禁忌事項が少なく、心身ケアに効果的ななラベンダーは、鎮静作用があるので、就寝時や夜のリラックスタイムなどに用いることも良いでしょう。

 

オレンジ・スィート

爽やかで甘くフルーティーな香りが、年齢性別問わず多くの人に好まれるオレンジスイート。
普段「オレンジ」として食べているのがオレンジスイートであり、果皮から採油したものが精油として使われています。みずみずしい甘くフルーティーな香りは、幸せホルモンとよばれる「セロトニン」を増やす作用が報告されていて、日々感じるストレスを癒して、明るく前向きな気分にさせてくれます。そんなオレンジスイートの香りは、ストレスを軽減させることで作業効率をアップさせる研究報告があり、ストレスを抱えすぎて疲れている人や、仕事にやる気がでない人の、リフレッシュにオススメの精油です。

 

 

まとめ

今回は、タッチケアの重要性とアロマテラピーの効果についてご紹介しました。
タッチケアでオキシトシンを増やして、嗅覚を通じて精油成分を脳に届けてると
自律神経のバランスを調整したり、つまりは心と体を整えるためのケアになります。

日々の生活や仕事で疲れを感じる心には、良質な精油を使いましょう。
簡単な方法でもアロマテラピーは使えますので、ぜひ試してみてください。

 

以上、参考になれば嬉しいです。

 

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